4M40はダイヤフラムを分解せずに燃調を増減できる
ディーゼル車の黒煙の原因には、幾つかの要因がありまして、複数の要因が、複雑に絡み合っているために、黒煙対策といっても、単純ではないのですが、黒煙の発生原因の最大の原因のひとつは、燃料と空気の比率があっていないということがあげられます。
入ってくる空気の量に対して、燃料が多いか、或いは、噴射される燃料に対して、吸入空気が少ないかの、いずれかの原因で、完全燃焼しきれずに、不完全燃焼したときに、黒煙をドバッと吐き出すわけです。
平成9年春まで生産された、前期型SGの2800DTには、機械式の4M40というエンジンが搭載されていますが、後期型と違って電子制御化されていないので、燃調を多少調整することが可能です。
機械式燃料噴射ポンプの、燃料噴射量を決めている装置のひとつに、「ブーストコンペンセンターシャフト」(通称:ブーコンシャフト)という、ロッドの中間が細く削られたような形状をしたものがあるのですが、永年の使用で、燃料によって、わずかではありますが、ブーコンシャフトの一部がやせ細ってくることがあります。これが原因なのですが、走行距離がすすんでくると、どうしても、噴射される燃料は、やや増えてくる傾向にあります。
古いディーゼル車では、特に燃調をいじらなくても、経年変化で、燃料の噴射量が増えてしまっている場合があるわけですが、これを、ちょっとだけ絞ってやれば、いくらか黒煙の発生は抑制できるというわけです。(あまり極端に減量しないこと)
本来は、ブーコンシャフトを上下させている部分の微調整をする場合、ダイヤフラムバルブという装置を分解する必要があるのですが、2800DTのSGに搭載された4M40というエンジンの燃料噴射ポンプには、ダイヤフラムの上部に、「ヘッドアジャストスクリュー」という、調整箇所がついています。
勿論、この箇所だけで、燃調すべてが制御できるわけではありませんが、ポンプの分解をすることなく、比較的簡単に、燃調を絞ることが出来るので、黒煙対策には効果があります。(増量して出力をアップするには、この箇所をいじることは向かない)
<作業手順>
準備
インタークーラーを外して、作業場所を確保します。
インタークーラーの脱着
(クリックするとページが開きます)
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インタークーラーを取り外して、燃料噴射ポンプの上のほうを見ると、配線や配管が邪魔してわかりにくいですが、タービンからのブーストホースが接続されている上から見ると平らな円盤状の装置が、「ダイヤフラム」、その上に、ヘッドアジャストスクリューが見えます。
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10ミリのメガネでナットを緩めてから、3ミリのヘキサゴン(6角レンチ)で、反時計方向に回します。任意の量回したら、再びナットを締め付けるだけ。 1周も回してしまうと、大変なことになりますから、時計の針で5分(30度)〜10分(60度)程度回し、試しに走行してみます。
アイドリングがばらつくほど燃料を絞らない限りは、一般市街地での走行には、まず問題ない範囲で、アクセルを踏み込んだ瞬間の黒煙も減少します。しかし、泣き所は、エンジンを高回転まで回したときに、燃料が不足しやすいので、最高出力がやや低下してしまうことです。
一度コツを覚えると、インタークーラーを外さなくても、エンジンが冷えているときであれば、工具を片手に、ワンアクションで調整できるようになります。
※この方法では、燃料を減少させる方法として紹介しましたが、反対に(時計方向に)回すことで、燃料は増量されます。但し、この部分で増減できるのは、基本噴射量ですから、ここで増量しても、黒煙が増えるだけで、出力的にはあまり変わりませんから、あまりお勧めはできません。
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ダイヤフラムの内部構造は、下の図のようになっています。
注 意
この記事を読んで、燃料噴射ポンプを調整して、何らかの不具合が生じたとしても、
当方は一切責任を負いませんので、あくまで自己責任においてお願いします。
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