EGRを殺すことなく黒煙減少に効果
SGに限らず、古くなったディーゼル車では、走行距離が増すにつれ、次第に黒煙を吐くようになってきますが、黒煙対策として、様々な手法が試行されております。そうした中で、比較的対処法として有名なのが、俗に言う「EGR殺し」
EGRは、NOx(窒素酸化物)対策として、燃焼温度を下げる目的で、排気ガスの一部を再循環させているのですが、排気ガスが吸気側に戻されることにより、酸素濃度が低下しますから、その分だけ、不完全燃焼しやすくなり、黒煙が出る可能性が高くなるという特性を持っています。環境対策部品でありながら、NOxと黒煙は、シーソーのように、どちらか片方が減ると、もう片方が増えてしまうという、悪循環の関係にあるとも言えます。
ディーゼル車では、古くなるにつれ、排気ガス再循環装置である、EGRバルブの作動不良等により、アクセルの踏み込み量に呼応して、黒煙が増えていく場合、EGRバルブを作動させている、バキュームホースを引き抜いて、EGRを作動しなくしてしまうという、極端な対応をとられることが、ごく稀に行われているようです。
尚、EGRを一時的に殺す対策は、他の理由でも施工される場合があります。
私のSGも、燃料噴射ポンプについている、レバーポジションセンサー(LPS)の不具合と思われる、EGRバルブの作動不良で、走行中に、カラカラという異音(かなり大きい)が発生して失速したり、黒煙をドバッと吐くことがありましたが、EGRバルブにつながっている、バキュームホースを一時的に抜くことで、特に不具合もなく、走行できております。
EGRバルブ不良時の応急処置
(クリックするとページが開きます)
とはいえ、こうした対応では、必要以上に酸素濃度が上昇しますから、燃焼温度が異常に上昇することで、NOxを増大させるばかりではなく、タービンへの熱害等、二次的なトラブルを誘発する可能性があります。
そこで、黒煙対策として、EGR作動のタイミングをずらすことで、アクセルON時の、急激な黒煙の発生を抑制しつつ、最終的には、EGRは作動させるという、対策部品が出されたことがあります。
今回紹介するのは、以前、パジェロの黒煙対策部品として供給されていた、「エミッションバルブ」です。
※2007年現在、この部品は、オリフィスと同様に、パジェロの黒煙対策用に期間限定で導入された対策部品のようでして、現在は三菱ディーラーの窓口で注文しても、手に入らないようです。
今回は、お友達の、まさや@松本さんから提供していただいた、消防ポンプの部品とのことで、パジェロの対策部品として供給されたものと、まったく同じものです。
人柱ならぬ、車柱は、お友達の、YUJI@静岡さんのSG。平成7年式のPD8Wです。
静岡市駿河区の、海の見える場所で、プチオフを行いました。
(作業実施時期:2007年6月)
作業手順
取り付け方法ですが、いたって簡単。EGRバルブにつながっているバキューム(負圧)のホースを外して、EGRバルブとの間に割り込ませるだけです。 但し! 向きがありますので、お間違えのないように。 まさや@松本さんのSGに取り付けてある状態が、正常な取り付け状態です。
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エミッションバルブ本体には、赤と青の二色に色分けされており、それぞれ、赤がA、青がBと表示されています。
赤(A)がEGRバルブ側 青(B)がエンジン側
になるように取り付けます。
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YUJIさんのSGは、オイルキャッチタンクなんかも装着してあります。 画像では、EGRバルブのダイヤフラムの位置がわかりにくいのですが、エミッションバルブの向きにだけ気をつけながら装着します。 |
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装着方法は実に簡単で、付嘱しているホースを、エミッションバルブの方向に 気をつけながら取り付け、EGRバルブに接続されているバキュームホースを外して、そこに割り込ませるだけなので、ものの1分程度の作業です。
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エミッションバルブを装着した後、エンジンを始動させ、アクセルを踏み込みながら、黒煙の出具合を確認しましたが、始動直後の黒煙発生は殆どなくなり、緩やかにアクセルを踏んでいくと、殆ど黒煙をはかないレベルにまで改善できたようです。
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エミッションバルブの装着で、効果が期待できる車の条件としては、試行の為に、一時的にEGRバルブのバキュームホースを取り外して走行すると、明らかに黒煙減少効果がある車両です。 エミッションバルブは、EGRカットのように、完全にEGRの機能を殺してしまうわけではありませんので、黒煙を減少させつつ、エンジンには、無理な負荷を強いないという、そんな感じでしょうか。
作業ミスの事例
参考までに、富山オフでkazuhikoのSGに取り付けた、画像を紹介します。 実はこの時、向きを逆に取り付けてしまったために、黒煙が減るどころか、EGRバルブがおかしな作動状態を引き起こして、走行中にカラカラ異音が発生したり、上り坂でエンジンの吹けが悪くなって、黒煙をドバッと吐いたり… 帰りの途中で、やむなく取り外して事なきを得たことがあります。 (取り付けた向きが逆であったことに気がついたのは、後日)
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